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こんな所見がみつかっています・・・
健康診断における細隙灯顕微鏡(さいげきとうけんびきょう)検査

間もなく特別定期健康診断 (前期) (6月8~10日) と VDT 作業従事者健康診断 (6月15~16日) が実施されます。既に御存知のように、特別定期健康診断における「眼の検査」には、平成10年度から、六甲台キャンパスにおきましても細隙灯顕微鏡検査 (図1) が用いられるようになりました。また、VDT 作業従事者健康診断におきましても細隙灯顕微鏡検査が行われています。この細隙灯顕微鏡検査・・・いったいどんなことがわかるのでしょう?

私達が物を見る時、眼に入った光は角膜 (かくまく) ・前房ぜんぼう・水晶体 (すいしょうたい) ・硝子体 (しょうしたい) を通り、網膜 (もうまく) の上に像を結びます (図2)。はっきりと物が見えるためには、角膜や水晶体による光の屈折が適切であること (網膜の上にきちんとピントの合った像が結ばれること) と、角膜や前房・水晶体・硝子体といった光の通る道筋が十分に透明であることが必要です。一般的な健康診断でも実施されている視力検査は、「光の屈折」が適切であるかどうかを調べる検査で、近視・遠視・乱視などは「光の屈折」の異常です。これに対して細隙灯顕微鏡検査では、光の通る道筋となる角膜・前房・水晶体・硝子体や網膜などの異常が判ります。よく知られている白内障 (はくないしょう) は、水晶体の混濁のことで、加齢とともに進行する老人性白内障をお持ちの方も多いことでしょう。放射線の場合、光と違って角膜や水晶体による屈折はしませんが、通り道に存在する眼の諸組織に障害を及ぼし、放射線白内障、放射線網膜症などを惹き起こしてまいります。健康診断における細隙灯顕微鏡検査はこうした異常を、自覚症状の無い微細な変化のうちに発見しようとするものなのです。

昨年秋の特別定期健康診断 (後期) では387名の受検者があり、「眼の検査」を義務付けられている放射線業務従事者は368名 (学生254名、職員114名) でした。この内、細隙灯顕微鏡検査によって、角膜混濁1名、角膜輪部母班1名、水晶体混濁 (白内障) 2名、視神経乳頭陥凹拡大1名が発見されています。幸い、放射線被爆が原因とされたものは無く、定期的な検査の下に経過観察が行われています。また、昨年のVDT 作業従事者健康診断においては119名の受検者があり、細隙灯顕微鏡検査によるものではありませんが、麦粒腫1名、飛蚊症1名、眼精疲労1名の診断がなされています。

細隙灯顕微鏡検査は、保健管理センターにおける日常の「からだの健康診断」 (眼科) においても実施されています。気になる眼の症状がおありの方は、早めに予約の上、御相談ください。

(図1) 細隙灯顕微鏡検査 (図2) 眼の構造

 

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