ようこそ。神戸大学保健管理センターへ。

-保健室から保健管理センターへ・・・看護婦として32年,「今,思うこと」。

私 (鈴木) は昭和43年、理学部保健室の看護婦として神戸大学に採用となりました。翌44年には教育学部保健室の看護婦となりましたが、折しも昭和40年代は日本全国を「大学紛争」の嵐が吹き荒れていた頃で、私は避難先の附属住吉校で大学の事務を手伝いながら、一人悶々とした日々を送ることとなりました。その後ようやく大学のキャンパスへ戻ってはきましたが、学舎は傷つき、鉄パイプを持った覆面姿の学生が闊歩しているという状況で、何とも落ち着かない毎日でした。当時は各学部に保健室があり、学校医の先生は週1回来られるのみで、普段は看護婦が一人で詰めておりました。そうした折、鉄パイプの彼等も病気や怪我をして保健室を訪れることがありました。最初はどうなることかと思いましたが、一人の病んだ患者として接していく時、彼等も意外に素直で礼儀正しく、処置を受けながら「看護婦さんは子供さんがいるのですか」などと普通の会話をして一時を過ごし、退室して行きました。そこには何らの違和感も恐怖感もありませんでした。

神戸大学に学生・職員の健康の保持増進のための全学施設として"保健管理センタ―"が設置されましたのは、昭和45年4月の事でした。当時はプレハブの建物で、現在の本部管理棟2階へ移りましたのは昭和47年2月のことです。各学部所属の看護婦が保健管理センターへ集中化され、保健管理業務の一元化が図られましたのは、それから更に6年後の昭和53年のことでした。保健管理センターの設置とともに常勤医師も加わり、各種の健康診断をはじめ、日常の救急処置・健康相談 (「からだの健康相談」、「こころの健康相談」) ・保健指導・健康教育・調査研究活動など保健管理センターにおける業務は見違えるほど充実してまいりました。保健管理センタ―を利用される方の数も年々増加し、平成10年度には利用者総数 25,736 人、日々の健康相談利用者数も5,055人 (救急処置・「からだの健康相談」4,013人、「こころの健康相談」1,042人) に上っています。

現代は、大学も社会もコンピュ―タ―の時代となり、保健管理センタ―に限らず、家庭も職場も溢れんばかりのコンピュ―タ―に埋め尽くされることとなりました。私は看護婦として常日頃、「心静かに相手の言葉に耳を傾け、心に触れる対応が出来るように」と自らに言い聞かせてまいりました。"コンピュ―タ―社会"はややもすると人間の首から上の"頭"の部分に神経を集中させ、首から下、即ち"心"の部分を稀薄にする傾向がありはしないかと危惧しています。大学・社会を問わず他に対する思いやりの心が荒んでいるように感じられるこの頃、「人間の"心"に対するこだわりを持ち続けなければ」との思いを強くしています。32年間という永い間、学生や職員の方々の保健管理に携わり、「人間の心と身体の健康」と言う壮大なテーマに向き合ってきた私ですが、こうしたことに思いを馳せます時、新たなスタ―トラインに立つ思いがいたします。永年に亘り支えて下さいました皆様に厚く御礼申し上げます。有難うございました。

 

神戸大学保健管理センター

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