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神戸における 第38回全国大学保健管理研究集会にて 講演中の笠原 嘉 氏 (平成12年10月19日) |
うつ病は、誰でもかかるポピュラーな病気、そして、治療すればとてもよく治る病気・・・という意味で「心の風邪」とも言われます。けれども、その症状たるや大変苦しいもので、とうてい風邪の比ではありません。一昨年、わが国では過去最高の3万3千人の自殺者が出ました。これは交通事故死者の3倍以上に当たります。WHOでも、うつ病を虚血性心疾患と並んで、"21世紀の疾患"と位置づけています。 自殺の背景には程度の差こそあれ、うつ病が存在していることが多いと言われます。うつ病に罹りやすい年代のピークは20代後半から中年期にかけてです。きっかけは人間関係のストレスなどが多いのですが、これといったきっかけのない場合もあります。また、仕事の一段落や昇進、引っ越し、出産など、普通は「喜ばしい」と考えられる出来事が契機になることもありますので、注意が必要です。 それでは、うつ病になると、どのような症状が現れるのでしょうか?右上のリストで、自分自身のうつ病度をチェックしてみましょう。このリストの半分程度の症状が2週間以上続くようでしたら、専門医を受診されることをお勧めします。 現在では、うつ病は治療すればとてもよく治る病気になりました。SSRI など副作用の少ない優れた"抗うつ薬"がたくさん開発されています。うつ病になると、脳の中の神経細胞同士を連絡する物質のバランスが崩れることがわかっており、"抗うつ薬"はこのバランスを取り戻してくれるのです。大勢の患者さんが「お薬ってこんなに効くんですね」という感想を述べられています。風邪を引いた時に内科を受診するように、「心の風邪にかかったかな」と思ったときは、偏見に捕われたり、我慢することなく、専門医に相談いたしましょう。保健管理センター「こころの健康相談」では、カウンセラーと精神神経科医があらゆる心の悩みや心配事の相談に応じています。どんなことでも、一人でくよくよしないで気楽に相談してみてください。手紙や電話での相談も受け付けています。
◆うつ病度の自己チェックリスト
(笠原 嘉 (かさはら よみち) 名古屋大学名誉教授による)
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