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未受検者に健康診断証明書の提出を義務化!・・・神戸大学学生健康診断規程の改定

この度、神戸大学学生健康診断規程が改定され、健康診断未受検者は当該健康診断と同等の実施項目を含む (病・医院での) 健康診断証明書を保健管理センターに提出しなければならなくなりました。昨年の本学における結核集団感染の発生を受けて検討が進められてきた「定期健康診断100%受検への対策」の一環です。

◆"排菌"を伴う新たな結核患者の発生

本学においては今年2月にも"排菌"を伴う新たな結核患者が発生し、濃厚接触者に対する2ヶ月後検診 (胸部X線直接撮影とツベルクリン反応検査) が4月17・19日と4月24・26日に予定されています。その結果によっては、さらに対象者を拡大した定期外集団検診が必要になるかもしれません。昨年の結核集団感染では最終的に23 人の方が結核の発病を防ぐ薬を予防内服することになりました。

◆定期健康診断に関する国の法令

大学を含めた学校における健康診断の実施については学校保健法に定められ、実施項目や方法などについては学校保健法施行規則に細則が定められています。中でも「結核の有無」に関する検査は、小学校第一学年、中学校第一学年、高等学校・高等専門学校第一学年と第四学年以上、ならびに「大学の全学年」に実施することとされており、高等学校・高等専門学校・大学においては「X線間接撮影を行うものとする」と規定されています。また、結核予防法にも定期健康診断の実施と受診義務についての規定があります。

◆胸部X線撮影、一年一回の意義

[新入生健康診断( 4 月 5・6・9 日)]

結核菌に感染しますと、約10~15%の人が発病しますが、発病しても最初は無症状で、その後、咳や痰が出始め"排菌"が始まります (下図)。定期健康診断における胸部X線撮影は、「感染・発病してから"排菌"が始まるまでの間に肺の結核病巣を発見すること」を目的としています。そして、結核菌の感染から発病までの期間は6~12ヶ月間が最も多いことから、検査のリスク・ベネフィットも勘案して、胸部X線撮影は一年一回とされているのです。実際、神戸大学でも "排菌"に至る手前で発見された活動性結核の患者さんが、最近5年間 (平成8~12年度) だけでも 20人に上っています。こうした発見患者数の多さが、結核が感染症であることと共に、「日本における定期健康診断においては、胸部X線撮影のベネフィットがリスクを上回る」とされる根拠の一つとなっているのです。

[国立大学等保健管理施設協議会発行、 結核パンフレットより]

◆規程を守らない人への対応

このほど改定された神戸大学学生健康診断規程では、" (病・医院での) 健康診断証明書の提出もしない未受検者に対する対応"は定められていません。しかし既に、学部・学科・研究科によっては、「各種実習への参加を認めない」、「履修を取り消す」、「単位を認定しない」等の内規や申し合わせが制定されています。結核は感染症であることから、一人の"排菌"患者が発生しますと、せっかく定期健康診断を受けた人まで定期外集団検診や予防内服の対象者となったり、感染・発症してしまうことになります。一方、"排菌"を伴わない時期に発見されれば、活動性結核であっても治療を受けながら通学や日常生活を行うことも可能で、この意味において定期健康診断の受検は誰にとっても決して不利益なことではないのです。4月に実施される定期健康診断の受検率や、未受検者における健康診断証明書の提出率によっては、規程を守らない人に対する全学的な取り決めが必要になるかもしれません。

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