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さあ、今こそ禁煙を!・・・防ごう、直接・間接喫煙の害

毎年5月31日は"世界禁煙デー"です。今年は「Second-Hand Smoke Kills: Let's Clear the Air (間接喫煙は周りの人を殺す!きれいな空気を!)」を標語に,"自分自身は喫煙しない人々"が、周囲の喫煙によって間接的に吸い込むタバコの害[間接喫煙 (受動喫煙ともいいます) の害]が取り上げられています。

◆タバコ消費量とともに急増する肺癌

厚生労働省の調査によれば、肺癌による死亡者 (年齢調整死亡率) は成人1人当たりの年間タバコ消費量とほぼ平行して増加し、平成11年には人口10万人当たり男性47.0人 (40年間で約3.5倍)、女性12.5人 (同、約2.6倍) となっています (図1)。 男性では、肺癌が胃癌を抜いて癌による死因のトップになりました。その他、タバコは口腔癌、咽頭癌、喉頭癌、食道癌、膀胱癌、膵臓癌などの原因になることが知られています。 また、狭心症や心筋梗塞、慢性気管支炎、気管支喘息、肺気腫、胃・十二指腸潰瘍、バージャー病の原因となったり、悪化要因となったりします。

(図1)日本における肺癌による死亡者
(年齢調整死亡率)と
成人一人当たりの年間タバコ消費量
〔日医雑誌,第125巻,第3号,2001より抜粋

◆深刻な間接喫煙の害

喫煙者が燻らせるタバコの煙は、それを吸い込む周囲の人たちにも害を与えます。 例えば、夫が喫煙者の場合に非喫煙者の妻が肺癌で死亡する率 (年齢・職業調整肺癌死亡率) は、夫の1日当たりの喫煙本数によって、1.42~1.91倍に増加することが知られています (図2)。0歳から3歳までの小児喘息は、家族による家庭内の喫煙が原因の一つであるともいわれます。 また、妊娠期間中に1日当たり2時間以上、間接喫煙にさらされた妊婦は、そうでない妊婦に比べて在胎37週以上の低体重児 (2,500g未満) を出生するリスクが2.2倍高いと報告されています。 その他、非喫煙者が間接喫煙によって喫煙者と同様の害を被るとの報告は枚挙にいとまありません。

(図2)夫の喫煙によって非喫煙者の妻が
肺癌で死亡する率の比較〔日医雑誌,第108巻,
第10号, 1992より図表化〕

◆家庭・職場・社会としての取り組みを!

アメリカやイギリスでは真剣な禁煙運動の結果、タバコの消費量が減少し、肺癌による死亡者が減っています。WHOは世界禁煙デーを「喫煙者のみならず各国政府・自治体・団体及び個人に対して、喫煙による健康問題への認識を深め、禁煙の適切な実施を求めていく日である」としています。家庭で、職場で、社会で、一人一人がタバコの害について認識を深め、身近なところから禁煙の輪を広げていきましょう。 愛煙家の皆さん!タバコは自分自身だけでなく、周囲の人達の健康をも害します。禁煙を成功に導くための"ニコチンガム"や"ニコチンパッチ"も開発されています。詳細につきましては病・医院や保健管理センター「からだの健康相談」でお尋ねください。 * 次のようなインターネットウェブサイトでもタバコによる健康被害等について御覧になれます。

健康日本21 http://www.kenkounippon21.gr.jp/index.html

Anti Smoke Site http://www.anti-smoke-jp.com/

TOBACCO or HEALTH たばこと健康 厚生労働省の最新たばこ事情 http://www.health-net.or.jp/tobacco/front.html

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