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神戸大学生の"活動性結核"患者、過去6年間に25人! ・・・望まれる「互いに安心できるキャンパス」

新年明けましておめでとうございます。「"感染症の一年"から"感染症予防の一年へ"」と取り組んでまいりました昨年は、学生健康診断規程の改定とともに、各学部・研究科等での受検勧奨・未受検者への再三の連絡といった御協力をいただき、高い健康診断受検率と、未受検者の多くからの (病・医院等での) 健康診断証明書の提出を得ることができました (下表)。ここに、関係の皆様の御尽力に厚く御礼申し上げます。

近畿地区の大学における"活動性結核"患者は約4,000人に1人

この程、全国大学保健管理協会近畿地方部会が近畿地区の国公私立大学において実施した結核現状調査 (平成12年度、調査参加校82校) では、在学生の約1,000人に1人が胸部X線検査で結核病変を指摘され、約4,000人に1人が医療を要する"活動性結核"と診断されています。神戸大学の学生・職員は併せて約19,000人ですから、本学においては毎年4~5人の"活動性結核"患者が発生する可能性があるということになります。

神戸大学生の"活動性結核"患者は 過去6年間に25人

実際、神戸大学においては学生に限っても、過去6年間に25人の"活動性結核"患者が発生しています (下表)。この内、平成12年7月と平成13年2月には、"排菌"状態となった患者を発端者とする集団感染や小規模感染 (注) に発展し、各々23人と12人の人たちが結核の発症を防ぐ薬を予防内服することになりました。その他の"活動性結核"患者の場合も、同様に発見が遅れていれば"排菌"状態となって集団感染に発展した可能性があり、「定期健康診断100%受検」に向けた取り組みの重要性が再認識されます。

学 部 生 研 究 科 生
所 属 新入生(%) 新入生以外(%) "活動性結核"患者 所 属 新入生(%) 新入生以外(%) "活動性結核"患者
文学部 100 93.0 (8) 文学研究科 98.5 98.2  
国際文化学部 100 87.1 (9) 総合人間科学研究科 97.9 67.9 (10)(12)
発達科学部 100 89.3 (8)(12) 法学研究科 100 56.5  
法学部 100 87.4 (8)(8) 経済学研究科 94.1 84.4  
経済学部 100 91.6 (12) 経営学研究科 67.4 43.6  
経営学部 99.4 82.4   医学系研究科(医科学専攻) 59.0 47.8  
理学部 100 94.0 (8)(11)(12)(13) 医学系研究科(保健学専攻) 85.0 39.8  
医学部医学科 100 89.5 (8)(12)(13) 文化学研究科 100 56.2 (13)
医学部保健学科 100 97.2   自然科学研究科 98.9 89.7 (9)(12)
工学部 100 97.5 (8)(8)(9)(10)(11) 国際協力研究科 95.7 64.5  
農学部 100 98.7   ___      
合 計 99.9 91.7 19人 合 計 90.0 64.5 5人
定期健康診断を受検するか, (病・医院等での) 健康診断証明書を提出した学部生と研究科生 (%) [平成13年度]。
"活動性結核"患者欄の(8)、(9)等は各々平成8年度、平成9年度等に○の数だけ"活動性結核"患者が発生したことを示す。
表中の24人以外に、留学生センターの留学生1人が"活動性結核"患者であった。

「定期健康診断100%受検」に向けた今後の方策

結核は感染症であることから、一人の"排菌"患者が発生すると、せっかく定期健康診断を受けた人まで定期外集団検診や予防内服の対象者となったり、感染・発症してしまうことになります。一方、"排菌"を伴わない時期に発見されれば、"活動性結核"であっても治療を受けながら通学や日常生活を行うことも可能で、定期健康診断を受検することは誰にとっても不利益なことではないのです。昨年の学生健康診断規程の改定では「健康診断を受けなかった者は、当該健康診断と同等の実施項目を含む (病・医院等での) 健康診断証明書を保健管理センターに提出しなければならない」旨、定められました。また、一部の学部・学科・研究科では"健康診断証明書の提出もしない未受検者"に対して「各種実習への参加を認めない」、「履修を取り消す」、「単位認定をしない」などの内規や申し合わせが制定されています。しかしなお、16,000人余の学部生・研究科生の中には、規程を守らない人が約1,700人 (休学中の者を除く) 存在しています。今後の対策の一つとして現在、学生証裏面の磁気記録部分に健康診断受検状況や (病・医院等での) 健康診断証明書提出状況を入力し、学生証が必要となる種々の場面 (各種証明書の自動発行等) でチェックができるよう計画していただいているところです。将来的には、履修登録がWEB で行われるようになりますと、さらに進んだチェックシステムの構築ができるようになるかもしれません。「互いに安心できるキャンパス」を目指して、さらなる方策についてのアイデアをお寄せいただけましたらと願っています。

(注):「結核集団感染」は「同一の感染源が2家族以上にまたがり、20人以上に結核を感染させた場合をいう。ただし、発病者1人は6人が感染したものとして感染者数を計算する」 (厚生省、1992年) と定義されています。

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