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(職員一般定期健康診断) 肝炎ウイルス検査を実施!・・・肝硬変・肝臓癌予防を目指して

六甲台キャンパスにおける職員一般定期健康診断が9月10・11・12日の3日間に渡って行われ、今年度は血液検査の受検者に、希望に応じて肝炎ウイルス検査が実施されました。

◆肝臓癌による死亡者の9割以上が肝炎ウイルスキャリアー

日本における肝臓癌による死亡者は年間 30,000人を越え、その9割以上がB型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスの持続感染者 (ウイルスキャリアー) であることが明らかになっています。肝炎ウイルスキャリアーのほとんどは"母から子への感染 (母子感染) "や"血液を介した感染"によるもので、 (右下表) 肝炎の程度が進行するまで気付かずに過ごしておられる方も多いようです。日常生活の中でB型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスに感染することはまずありませんが、肝炎ウイルスキャリアーであることを早い時期に知ることができれば、適切な治療や定期的な検査を受け、肝硬変や肝臓癌による死亡を防ぐことができます。

◆HBs抗原 (エイチビーエスこうげん) 陽性 (+)、HBs抗体 (エイチビーエスこうたい) 陰性 (-) で疑われるB型肝炎ウイルスキャリアー

肝炎ウイルス検査においてHBs抗原が (+) の時は、B型肝炎ウイルスに感染していることを示します。これに対してHBs抗体が (+) の時は、B型肝炎ウイルスによる感染が終息し、中和抗体 (ウイルスに結合して無力化する抗体) を獲得したことを意味します。従って、気を付けなければならないのはHBs抗原 (+) 且つHBs抗体 (-) の場合で、B型肝炎ウイルスキャリアーなのかB型肝炎の初感染者なのかを見極めたり、現在の感染力を知るための詳しい検査が必要になります。一方、過去にB型肝炎ウイルスに感染して治癒した方や、B型肝炎ウイルスに対するワクチンの接種を受けた方では、HBs抗原 (-) でHBs 抗体 (+) という結果になります。

◆肝炎ウイルス検査を受けましょう


職員一般定期健康診断
[平成14年9月10・11・12日,保健管理センター]

B型肝炎ウイルスキャリアーやC型肝炎ウイルスキャリアーであることが判った場合、現在ではインターフェロンをはじめとする抗ウイルス薬や肝炎を抑制する薬剤による治療が受けれるようになっています。また、腹部超音波検査や腹部CT検査による定期的な経過観察によって慢性肝炎・肝硬変への進展や肝癌の発生を早期に知り、適切な治療を受けることも可能になっています。B型肝炎ウイルスキャリアーやC型肝炎ウイルスキャリアーの中には、自覚症状も無く血液検査での肝機能検査値も正常でありながら病期が進行している方もあります。厚生労働省により「一生に一度、何らかの機会に自身の肝炎ウイルス保有の有無を確認すること」の意義が強調されているのも、こうした事情によるものです。今年、肝炎ウイルス検査を受けられなかった方・・・来年は受けてみませんか?

背  景 B型慢性肝炎
(139症例)
C型慢性肝炎
(213症例)
平均年齢 35.4歳 48.4歳
男女比(男:女) 3.1:1 2.5:1
輸血を受けたことがある者 3.4% 42.7%
手術を受けたことがある者 4.3% 27.9%
肝炎に罹ったことがある者 3.4% 9.5%
肝疾患の家族がいるもの 29.3% 3.2%
B型慢性肝炎とC型慢性肝炎の背景
[清澤研道、慢性肝炎 (C型肝炎)、日本医師会雑誌、122:S164,1999より]

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