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"長寿"から"健康寿命"へ ・・・健康診断、健康相談、健康教育の目指すもの

新年明けましておめでとうございます。21 世紀も早や3年目を迎えました。この半世紀、文明の発達とともにヒトの寿命は飛躍的に延びましたが、その一方で心身の健康を患う方も増えてきています。

◆延び続ける日本人の平均寿命

日本人の平均寿命は平成 13 年 (2001 年) に男 78.07 歳、女 84.93 歳となり、最近 20 年間だけでも男 4.28 歳、女 5.80 歳の延びを示しています (図1)。統計上の半世紀前に当たる昭和 26 年 (1951 年) の平均寿命が男 60.80 歳、女 64.90 歳であったことを考えますと、隔世の感があります。こうした傾向は欧米先進諸国でも同様で、出生数の減少とともに社会の高齢化をきたし、それに伴う新たな種々の問題の解決が急がれています。

(図1) 日本人の平均寿命の推移

◆"長寿"を目指す医学から"健康寿命"を目指す医学へ

こうした中、医療の面でも、単に長く生きること ("長寿") を目指す医学から、生活の質 (Quality of Life) も含めた"健康寿命"を目指す医学への転換が求められるようになってきました。「長寿はありがたいことではあるが、健康に活動できてこそのことである」という考え方です。「歳をとっても、"寝たきり"や痴呆になることだけは避けたい」と願われる方も多いことでしょう。また不治の病や植物状態になった時、徒 (いたずら) に延命を図る医療を望まれない方も多いことと思います。

◆今から始める"寝たきり"を防ぐ健康管理

日本における三大死因は癌、心疾患、脳血管疾患ですが、"寝たきり"の原因で最も多いのは脳血管疾患 (脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、硬膜下出血など) で 38.7 %を占め、次いで骨粗鬆症・骨折 (13.2 %)、痴呆 (7.0 %) …といった順になっています (図2)。この内、脳血管疾患と骨粗鬆症・骨折だけでも"寝たきり"の原因の 51.9 %を占めていますから、これらを予防できれば"寝たきり"になる確率を約半分にすることができるということになります。脳血管疾患の予防のためには素地となる糖尿病、高脂血症、高血圧症、赤血球増多症などを防いだり治療しておくことが有効で、職員一般定期健康診断でもこれらに関する検診項目が取り挙げられています。また、骨粗鬆症の予防のためには一日600~1,000 mg 程度のカルシウム摂取や適度の運動が有効とされています。

◆健康診断・健康相談による早期発見・早期治療と健康教育による予防医学の推進

"長寿"を目指す医学から"健康寿命"を目指す医学への転換が求められる中で、従来の早期発見・早期治療を一歩進めた予防医学の重要性があらためて認識されるようになってきました。保健管理センターでは現在既に、健康セミナーや公開講座等における講演をはじめ、インターネット上に開いた「保健管理センターホームページ」、各種広報誌等を通じて広く医学知識の普及に努めていますが、今年もこうした健康教育の機会や内容を充実させ、早期発見・早期治療に向けた健康診断・健康相談等とともに、学生・職員をはじめとする多くの方々の健康の保持・増進に寄与してまいりたいと願っています。

(図2)“ 寝たきり ”の原因

◆泥酔、昏睡は体温を保持して病院へ

一緒に飲んでいる人が酩酊状態になったら、それ以上飲ませないことが大切です。泥酔状態や昏睡状態の場合は迷わず病院に運びましょう。少しの遅れが悲惨な結果に繋がります。吐物で窒息しないよう、上向きではなく、横向きに寝かせるのが安全です。お酒に強い方 (なかなか酔わない方) は、お酒に弱い方 (すぐ酔ったり、気分が悪くなる方) が日本人の半数くらい存在することを知っておいてください。自らもほどほどに、他に強要することもなく、皆で楽しい年末年始を過ごしましょう。

 

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