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神戸大学における自殺者、過去10年間に18人! ・・・自殺を防ぐ"頼れる人 "、"信頼できる人"の存在

「人身事故のため…」というアナウンスで電車の運行が止まるたび、「また自殺か…」との思いを馳せた経験をお持ちの方も多いことでしょう。

◆3万人を超える日本における年間自殺者

日本における自殺者は平成 10 年 (1998 年) に前年の 24,391 人から一気に 32,863 人に増加し、以降も若干の減少はあるものの毎年 3 万人以上を記録しています ( 図 1 ) 1)。 平成13年の自殺者が 31,042 人、交通事故死者が 8,747 人ですから、自殺がいかに深刻な社会問題であるかが分かります。同じ年、学生や生徒の自殺も 749 人あり、小・中・高生を除く大学生等の自殺は 344 人でした。神戸大学においても過去 10 年間 (平成 4 年~平成 13 年) に 18 人 (学生 16 人、職員 2 人) の自殺者が出ています。この内、本学の学生 10 万人当たりの年間自殺者数は平均約 10 人となり、国立大学等保健管理施設協議会の調査 (平成 11 年度調査参加校、国立 89 大学) 2) による 14.9 人に比べて少ないということになりますが、将来ある若者が自ら死を選択している現実に胸が痛みます。また、職員の場合も、なぜ死に追い立てられてしまったのか、自殺を個人の問題としてではなく、職場全体、大学全体の問題として捉え、再発防止に向けた対策が望まれます。

(図1) 日本における自殺者の推移

◆原因・動機のトップは健康問題、学生・生徒では学校問題

自殺の原因・動機については不明のことが多いのですが、遺書が残されている場合には健康問題、経済生活問題、家庭問題…が上位に挙げられています (図 2, 左 ) 1)。また、学生・生徒に限ると学校問題が最も多く、続いて健康問題、家庭問題、男女問題…といった順になっています ( 図 2, 右 ) 1)。

◆自殺を誘う孤立感

自殺は、さまざまなストレスがきっかけになって抑鬱状態になり、正常な判断力を失って、孤立した状況のもと、「死ぬことでしか対処できない」という思い込みに陥ってしまうことによって起こります。" 頼れる人 "や" 信頼できる人 "が周囲にいる時、人は自殺を思いとどまることができることが知られています。自殺を決意し、死に場所まで決めていても、「親、兄弟、友達、先生などの顔が思い浮かび自殺を止めた」と回顧する方が少なくありません。自殺を予防する第一の方策は孤立させないことなのです。

(図2) 日本における自殺者の原因・動機 全自殺者 (左) と学生・生徒 (右)

◆カウンセリングや薬物療法の積極的な活用を!

抑鬱状態になることは誰にでもありうることです。ただ、自分で診断するのは難しいことですから、「いつもと違うかな?」と思ったら、早めに専門家に相談されることをお勧めします。カウンセリングや薬物療法によって速やかに改善する場合も多いのです。保健管理センター「こころの健康相談」では、カウンセラーと精神神経科医があらゆる心の悩みや心配事の相談に応じています。手紙や電話による相談にも応じていますので、気楽に利用してください。希望される方には外部の相談機関への紹介もしています。悩める方にとって、あなたと共に、" 頼れる人 "、" 信頼できる人 "になりうることを願っています。

1) 警察庁生活安全局地域課:平成 13 年中における自殺の概要

2) 内田千代子、他:CAMPUS HEALTH 37:127 , 2001

 

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