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ストレス胃炎とストレス潰瘍 ・・・早く気づいて、きっちり治療!

3月、4月。職場の移動や転勤など、自らを取り巻く環境の変化によって心身のストレスが高じると、胃炎 (出血性胃炎、びらん性胃炎) や胃・十二指腸潰瘍を起こしやすくなります。平成7年 (1995年) の阪神淡路大震災の際にも、被災地では吐血の患者さんが多く発生し、そのほとんどは心身のストレスが原因の胃潰瘍によるものでした。

◆上腹部の症状がある時は要注意!

胃炎や胃・十二指腸潰瘍の症状は上腹部の痛みや不快感、胸やけ、膨満感、食欲不振、吐き気、嘔吐などで、胃壁や十二指腸壁からの出血が多い場合には吐血 (とけつ) や下血 (げけつ) をきたすこともあります。吐物のなかに血や凝血が混じっていたり、便の色が黒っぽい時は急いで精密検査を受けましょう。貧血が進んだり、胃壁穿孔 (せんこう) や十二指腸壁穿孔 (せんこう)、腹膜炎を起こすと生命に危険がおよびます。 。


内視鏡検査における胃潰瘍の所見 (左) と概略図 (右)
潰瘍となった部分 を覆う白苔 (はくたい) や凝血が見られる。

◆ストレスに弱い胃や十二指腸

ストレスが加わると迷走神経 (めいそうしんけい) が刺激され、胃酸やペプシン (胃液中の蛋白分解酵素) の分泌が増えたり胃の緊張が増し、胃壁が痛み易い状態になります。また、内蔵神経 (ないぞうしんけい) が刺激され、胃粘液や重炭酸の分泌が減ったり、胃の血流が悪くなり、胃壁を防御したり修復したりする働きが低下します。ストレスによる副腎皮質 (ふくじんひしつ) ホルモンの増加も、胃酸やペプシンの分泌を増加させ、胃粘液の分泌を低下させることが知られています。十二指腸壁は酸に弱く、胃から十二指腸に流入する内容物の酸度が上昇すると十二指腸潰瘍が起こり易くなります。

◆確定診断は内視鏡検査

自殺は、さまざまなストレスがきっかけになって抑鬱状態になり、正常な判断力を失って、孤立した状況のもと、「死ぬことでしか対処できない」という思い込みに陥ってしまうことによって起こります。" 頼れる人 "や" 信頼できる人 "が周囲にいる時、人は自殺を思いとどまることができることが知られています。自殺を決意し、死に場所まで決めていても、「親、兄弟、友達、先生などの顔が思い浮かび自殺を止めた」と回顧する方が少なくありません。自殺を予防する第一の方策は孤立させないことなのです。

◆充分な睡眠と気分転換、薬物療法が効果的!

現在では胃酸やペプシンの働きを抑制する制酸剤や、胃酸の分泌そのものを抑制したり胃粘液の分泌を亢進させたりする薬剤 (H2 受容体拮抗剤、ムスカリン受容体拮抗剤、プロトンポンプ阻害剤など) が開発され、胃・十二指腸潰瘍のほとんどは内科的治療によって治るようになりました。原因となる心身のストレスを避けるのはなかなか難しいことですが、充分な睡眠をとり、スポーツなど自分の好きなことで気分転換をはかることが大切です。一人で悩まず、信頼できる友人や知人などに相談するのも良いでしょう。保健管理センターでは内科やその他の医師による「からだの健康相談」と、カウンセラーや精神神経科医による「こころの健康相談」を受け付けています。気になる症状がおありの方は早めにご相談ください

 

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